
こんな方に向けた記事です
- FXのスプレッドの意味が知りたい
- スプレッドが広がる理由を知りたい
- スプレッドの注意点が知りたい
FXの「スプレッド」って、なんで存在しているのかイマイチよく分からなかったり、なんとなく理解している人でも細部まで理解していない方が結構いるんじゃないでしょうか?




誰でも理解できるように、メチャクチャ丁寧に解説していますので、スプレッドの意味を知りたい方は是非参考にしてください。
それでは早速いきましょう!
スプレッドとは?
スプレッドとは売値と買値の価格差のことを指します。
直訳すると「広がる・開く」という意味です。
売値と買値の価格差を具体的に説明していきます。
FXを一度でもやったことがある方はこういった画面を見たことがあるのではないでしょうか?
この場合は売値が123.798、買値が123.800となっていますよね。
その真中に「0.2」という数字が表示されていますが、これがスプレッドです。

数式としてはこうなります。
123.800ー123.798=0.2
ここまでは簡単ですよね。
続いてこのスプレッドがあることでどういった影響があるのかを解説していきます。
スプレッドがトレーダーに与える影響
スプレッドがトレーダーに与える影響ですが、売値と買値に格差があることによってトレード毎に必ずスプレッド分の取引コストがかかるようになっています。
例えば、123.800で「買い」のエントリーをしたとします。
そして価格が変わらないまますぐにこのポジションを決済(売り)したとします。
先ほどと同じく計算式はこちらです。
買い123.800ー売り123.798=0.2
この場合123.798円で決済(売り)することになるので、すぐに決済したとしてもトレーダーは0.2銭の損失が出ることになります。
逆に123.789で「売り」のエントリーをしたとします。
そして価格が変わらないまますぐにこのポジションを決済(買い)したとします。
計算式はこちらです。
売り123.798-買い123.800=0.2
こちらの場合も先程と同じく、すぐに決済したとしてもトレーダーは0.2銭の損失が出ることになります。
単純に「買ってすぐ売って」を行った場合でも、1回あたりスプレッド分の0.2銭の損失が生じるということになります。
つまりエントリーした瞬間、「買い」であれ「売り」であれ、トレーダーは必ずこのスプレッド分マイナスから取引がスタートすることになるということです。

FXというのは「買い」であれ「売り」であれポジションを持った瞬間にスプレッド分、必ずマイナスからスタートするということをこの章では覚えてください。
なぜスプレッドが存在するのか
ではなぜこのようにスプレッドが存在するのでしょうか?
それには2つの理由があります。
理由1:FX会社が利益を得るため
このスプレッドというのは、トレーダーにとっては必ずかかるコストとなりますがFX会社に取っては利益となります。
トレーダーがポジションを持つたびに、証券会社はスプレッド分の利益が入ってくるってことですね。
FX会社はスプレッドによって得られる利益によって成り立っているのです。
理由2:FX会社によるカバー取引のリスクを無くすため
理由の2つ目は、FX会社による「カバー取引」のリスクを無くすためです。
カバー取引とは
FX会社は基本的に投資家や顧客の注文を受けると、その注文をカバー取引と言ってインターバンクに全く同じ注文を出します。
画像のように投資家が1万ドルの買いを行った場合、FX会社も同じようにインターバンクに対して1万ドルの買い注文を行います。
投資家が1万ドルの売りを行った場合は、FX会社は同じくインターバンクに対して1万ドルの売りを行います。
これをカバー取引といいます。

このカバー取引を行う際に、例えば投資家が1万ドルの買いなどを行った場合、当然ですが間にFX会社を挟んでいるため注文の時差が生じます。

時差が生じている間にも為替レートは常に動いています。
その為替レートが動くことに対するリスクを無くすために、FX会社は最初から「スプレッド」を設けることである程度のリスクヘッジを行っているということになります。

これがスプレッドが存在する2つの理由です。
スプレッドはFX会社によって異なる
そしてこの「スプレッド」はFX会社によって数字が異なってきます。
FX会社によってスプレッドの差がある理由はたくさんあるのですが、
◆どの通貨ペアからどのくらいの取引コストを得るか(ビジネス的戦略)
◆カバー取引時におけるシステム上の問題(システムが速い会社はスプレッドを狭くできるが、システムが遅い会社はある程度広げないといけない)
◆リスクの形容範囲の問題(会社ごとにどれくらいリスクを許容できるか)
◆競合他社との競争
主にこういった理由で差がでてきます。
簡単に言うと、各FX会社の経営方針によって異なるということですね。
もちろんスプレッドの差が「狭ければ狭い」ほど、トレーダーにとっての負担は減るということになります。
ですので自分が取引する通貨のスプレッドはどこか一番安いのかも検討する必要があります。
スプレッドの計算方法
スプレッドの計算方法はとても簡単です。
スプレッド×取引数量
スプレッド0.2銭の米ドル円を1万通過取引したい場合
0.2銭(0.002円)×1万通貨=20円
となります。
ですのでこの場合の取引コストは1回あたり20円ということになります。
スプレッド0.5銭のユーロ円を10万通貨取引したい場合
0.5銭(0.005円)×10万通貨=500円
となります。
ですのでこの場合の取引コストは1回あたり500円ということになります。

「なんか少なくね?こんな金額だったらスプレッドなんか気にしなくてよくね?」と感じる方もいると思います。
しかしこのスプレッドは取引毎に掛かってくるので、何回も取引する場合はボディーブローのように積み重なっていき、後で計算したら結構なスプレッドを支払っていたという罠がまっています。
1回1回は微々たる金額だとしても、それが重なっていくと結構な量になりますし取引通貨量を多くした場合も結構かかってくるんですよね。
ピンと来ない方は、銀行の引き出し手数料・振込手数料だとイメージすると分かりやすいのではないでしょうか?


スプレッドに関する注意点
スプレッドの値は変動する場合がある
スプレッドで一番注意することは、スプレッドの値は常に変動するということです。
例えば相場がなんらかの要因で急変動した場合はスプレッドが広がりやすくなります。

(画像が荒くてすみません)
一番酷いものだと「200銭」ものスプレッドが設定されています。
つまり単純に、注文を行っただけで「200銭」ものマイナスからスタートするというこです。
スプレッド200銭の米ドル円を1万通過取引した場合
200銭(2円)×1万通貨=20000円
この場合は、2万円ものマイナスが注文をした瞬間にかかってくるということです。


このような状態になったら通常は取引できなくなります。
スプレッドというのはこのように相場の急変動などで大きく開くことがありますので、スプレッドの変動には常に注意しておきましょう。
「原則固定」には要注意
FX会社ではこのように「原則固定(例外あり)」という言葉には注意してください。
「原則固定」と記載されているので、あたかも「一定に固定されている」と受け取ってしまいますが、必ず「(例外あり)」という文言が続きます。
「(例外あり)」というのは、「ただし相場が急変したり、時間帯によって変動する場合もあるよ」という意味です。
「原則固定(例外あり)」というややこしい表現を使っているので非常に厄介なのですが、スプレッドは相場の状況・時間帯(後述)によって常に変動しますので必ず確認してから注文するようにしましょう。
スプレッドが広がる理由
このようにスプレッドが広がる理由には大きく分けて4つあります。
1:流動性が低い場合
流動性が低いというのは、図右のように、その通貨ペアを取引している人数(市場参加者)が少ないという意味です。
逆に流動性が高いというのは、図左のように、取引している人数(市場参加者)が多いという意味です。
流動性が低いと取引が成立しずらく、流動性が高いと取引が成立しやすくなります。
流動性が低く取引している人数(市場参加者)が少ないと、なかなか売り手が少なかったり買い手が少なかったりと取引が成立しづらい状態となります。
その場合は、スプレッドは広がる傾向にあります。
前述したように、FX会社は顧客から注文を受けた場合、インターバンクに注文を行います(カバー取引)。
このカバー取引自体が、流動性が低いと成立しにくくなるのでなるべくスプレッドの幅を広げて、カバー取引時のリスクを少なくします。
この図の場合「米ドル円」は0.2銭のスプレッドに対して、「ユーロ円」は0.5銭、「ニュージランド円」は1.2銭ものスプレッドとなっています。
これは流動性の差によってスプレッドに開きが生じています。
つまり「米ドル円」は非常に人気の通貨ペアであり、市場の流動性が高い通貨ペアなので、スプレッドが狭くなっているってことですね。
逆に「ニュージランド円」はそこまで人気の通貨ペアではなく、市場の流動性が低い通貨ペアなので、スプレッドが広く設定されているんですね~。

2:時間帯によってスプレッドが異なる
また時間帯によってもスプレッドが違います。
FXというのは24時間取引することができますが、開いている市場が違います。
最も取引高が多いのが「ロンドン時間」「ニューヨーク時間」です。
この「ニューヨーク時間」が終わった朝の7時から「東京時間」が始まるまでは、取引量が少なくなります。
この時間はスプレッドは開きやすくなります。

3:為替レートが急激に変動した場合
為替レートが急激に変動した場合もスプレッドが開きやすくなります。
為替レートが急激に変動するというのは、図のように「急激に下落(または上昇)」した場合です。
再度となりますが、FX会社は顧客からの注文を受けたらインターバンクに注文を行うカバー取引を行います。
このとき、注文の時差が生じると説明しました。
為替レートが急激に変動しているときは、注文の時差が生じることで顧客の注文とFX会社の注文が大きく異なってしまう可能性が高くなります。
そして為替レートが急激に変動しているときは、注文に時差が生じ大きく注文の数値が異なってしまうとFX会社にとっては損失が生じてしまいます。
ですので為替レートが急激に変動した場合は、FX会社が自分たちのリスクヘッジのためにスプレッドを広げますよってことですね。
カバー先の金融機関の差
FX会社というのは基本的に「カバー先の金融機関が提示した為替レート」を元に顧客へ為替レートを提示します。
最終的にはFX会社がレートを決めるのですが、元となるのはカバー先の金融機関が提示した為替レートです。
FX会社によってこのカバー先の金融機関が異なり、またその数も異なってくるのです。
例えばあるFX会社はカバー先の金融機関が4つあったり、3つしかない、2つしかない、ということもあります
カバー先の金融機関の質も、FX会社によって変わってきます。
当然、カバー先の金融機関が多いと選択肢も多くなり、より顧客に有利なレートを提示することができます。
より有利なレートを提示することができるということは、それだけスプレッドを狭くすることができるということに繋がります。
つまりカバー先の金融機関の数が多く、かつ質が高いとスプレッドを狭くしてもFX会社というのは利益を確保することができるということです。
逆に「カバー先の金融機関」の数が少ない場合などは、そもそもの選択肢が少ないのでスプレッドを狭くすることができないということになります。


スプレッドQ&A
Q
経済指標時スプレッドが高い時に注文して何分かしてスプレッドが落ち着いた時に決済したらどちらが適用されますか?
A
最終的には決済時のスプレッドが適用されますが、経済指標時等のスプレッドが広い時に注文を出すと、そもそもその時点でかなり不利なレートで約定することになります。
ですので実質的には広いスプレッド分の損失がでます。
Q
スプレッドは変動するとのことですが、買った時点で決まっているスプレッドが売った時に適用されるのですか?
A
はい。決済時に適用されます。
Q
スプレッド以下の利益で買ったり売ったりするのは無駄ってことであってますか?
A
はい。あっています。スプレッド以下の利益で買ったり売ったりした場合は、損失になってしまうということです。
まとめ
以上、「FXのスプレッドとは?スプレッドが広がる4つの理由」についてでした。
今回の内容をまとめると以下のようになります。
- スプレッドとは「売値と買値の価格差」のことを指す。
- トレーダーは「必ずこのスプレッド分マイナスから取引がスタートする」ことになる。
- スプレッドが存在する理由は「FX会社の利益」&「カバー取引のリスク」を無くすため
- スプレッドはFX会社によって「数字」が異なる
- スプレッドの値は「相場の急変動」によって変動する場合がある
- スプレッドが広がる理由は「流動性が低い」「相場の急変動」「時間帯」「カバー先の金融機関の差」
スプレッドを正しく理解して、FXの知識をより深めていってください!
それでは。