
こんな方に向けた記事です
- FX自動売買での損切りの考え方を知りたい
- 損切りの判断基準を知りたい
「含み損を抱えた時の対処方法がわからない」「判断基準が分からない」そういった悩みを持つ方も多いですよね。
特にナンピン系のEAではレンジ相場であれば問題ありませんが、トレンド相場が強く出た場合は含み損を多く抱えてしまいますし、含み損の額を見て焦りだす方が多いはずです。


本記事ではFX自動売買で含み損を抱えた時の4つの対処法を解説していきますのでぜひ参考にしてください!
証拠金維持率とは?
含み損の判断基準となるのは含み損の金額よりも「証拠金維持率」が重要になってきます。
PCのMT4であれば下記から「証拠金維持率」を確認することができます。
スマホのMT4であれば下記から確認することができます。
証拠金維持率は「現在の自分の資金から、購入するための金額を差し引いたときのパーセンテージを求めたもの」となります。
計算式は
「有効証拠金」÷「証拠金」×「100」
で表します。
この証拠金維持率が高ければ高いほど「まだまだ余力がある」ということを表します。
人間で言えば「体力」みたいなイメージで大丈夫です。

「強制ロスカット」は証拠金維持率によって決まる
「強制ロスカット」が発動する基準は、この証拠金維持率によって決まります。
例えばXMでは、証拠金維持率が50%を下回ると「マージンコール」が発動し、20%を下回ると「強制ロスカット」となります。
マージンコールとは・・・口座の資金額がポジションを保有し続けるために必要な最低金額を下回っていることを投資家に知らせる緊急時の対応のこと
強制ロスカットとは・・・FX会社のシステムによって、すべてのポジションが強制決済されてしまうこと。証拠金は全損となる。
基本的には含み損の額ではなく、この「証拠金維持率」で「今自分がどういった状況にいるのか?」「含み損を抱えているけどどれくらい余力があるのか?」「それとも何か対処する必要があるのか?」などを判断していきます。
証拠金維持率の目安
証拠金維持率の1つの目安としては下記のとおりです。
1000%まで:十分余力がある
1000%割ってきたら:まだ余力はあるが対策を考え行っていく必要がある
500%:危険領域突入
証拠金維持率が1000%以上ある場合は、十分な余力が残っている状態です。
1000%割った場合は、まだ余力はありますが対策を考え始めたり、実際に対策を行っていきましょう。
500%を割ってきたら危険領域突入ということで、余力がほぼ残っていない状態となります。
500%を割ってきてからなにかしらの対策を取ったとしても「時既に遅し」という部分もありますので、できれば1000%を割る前や1000%割ったくらいから対策をしていくのが良いかなと思います。
含み損を抱えたときにできる対策は主に4つ
証拠金維持率を上げたり・守ったりするのに有効な対処方法は主に4つあります。
有効な対処方法
- 自動売買を停止して様子を見る
- 損切りを行う
- 証拠金を追加(追金)する
- なにもしないで見守る

①自動売買を停止するして様子を見る
1つ目は、自動売買を停止して新たにポジションを取らないようにするという方法です。
自動売買の種類によって最大何段までポジションを取るのかは変わってきますが、証拠金維持率が少なくなってきた段階で自動売買を停止してそれ以上ポジションを取らないようにします。
こうすることで自動売買がポジションを積み重ねていかないので含み損・証拠金維持率低下を防ぐことができます。
自動売買を停止するデメリット
デメリットとしては、利確ポイントは遠のいてしまうということです。
ナンピン系の自動売買であれば、ポジションを積み重ねていって全ポジションの平均取得単価をUPさせていきます。
ですので自動売買を停めてしまうことによって新たなポジションを取らない代わりに平均取得単価も下がらないので利確ポイントまでは通常よりも遠のくことになります。
また停止したとしても、相場が逆行し続けた場合はポジションを抱えているので証拠金維持率は当然減っていきます。
そして利確ポイントに達した場合も手動にてポジションを決済する必要があるということも覚えておきましょう。
②損切りを行う
2つ目の対象方法は「損切り」を行うことです。
損切りの考え方は下記のとおりです。
ポジションを部分決済(損切り)する場合
通常ナンピン系のEAですと、ポジションを積みましていき利確するまでナンピンしていくので複数ポジションを抱えていきます。
そのときにどうしても含み損を抱えてしまいますので、相場が逆行し続ければし続けるほど証拠金維持率もどんどん下がっていきます。
証拠金維持率が厳しくなってきた場合でも、いきなり全ポジションを一括で全損切りをするのではなく、一部のポジションを部分決済(一部損切り)することで含み損や証拠金維持率を回復させて引き続きトレードを続けるように対策することができます。
ポジションを部分決済する場合は主に2種類の方法があります。
- 一番古いポジションから損切りする
- 一番新しいポジションを損切りする
- ポジションを全て損切りする
ポジションを決済(手動利確・損切り)する操作方法は下記記事にて解説しています。
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【FX自動売買】ポジションをMT4で手動決済する方法(PC・スマホ)
続きを見る
一番古いポジションから損切りする
1つ目の方法としては「1番古いポジションから損切りする」という手法です。
具体的にはこんな感じです。
一段目 0.01 ロット←まずここからポジションを決済
二段目 0.02 ロット←次に損切りする場合はここからポジションを決済
三段目 0.02ロット←また次に損切りする場合はここからポジションを決済
四段目 0.02ロット
五段目 0.02ロット
六段目 0.02ロット
七段目 0.04ロット
八段目 0.04ロット
九段目 0.04ロット
十段目 0.04ロット
十一段目 0.06ロット
十二段目 0.06ロット
十三段目 0.06ロット
十四段目 0.08ロット
十五段目 0.08ロット
こんな感じで一段目の古いポジションから決済していく方法です。
古いポジションから損切りするメリット
この方法のメリットとしては「全ポジションの平均取得単価がUPするので少し相場が戻ったらプラスにできる」という点です。
またロットが低い分損切り金額も高いロットを損切りするのに比べて少ないのもメリットと呼べます。
古いポジションから損切りするデメリット
デメリットとしては古いポジションから決済した場合、当然ロット数は低いために証拠金維持率の回復も非常に少ないという点です。
証拠金維持率は少ししか回復しかしませんが、古いポジションから少しずつ損切りしていくのは有効な方法ですのでぜひ覚えておいてください。
基本的にはこの古いポジションから分割決済していくのがポピュラーな方法になってきます。
一番新しいポジションから損切りする
2つ目の方法としては「1番新しいポジションから損切りする」という手法です。
具体的にはこんな感じですね。
一段目 0.01ロット
二段目 0.02ロット
三段目 0.02ロット
四段目 0.02ロット
五段目 0.02ロット
六段目 0.02ロット
七段目 0.04ロット
八段目 0.04ロット
九段目 0.04ロット
十段目 0.04ロット
十一段目 0.06ロット
十二段目 0.06ロット
十三段目 0.06ロット←また次に損切りする場合はここからポジションを決済
十四段目 0.08ロット←次に損切りする場合はここからポジションを決済
十五段目 0.08ロット←まずここからポジションを決済
こんな感じで新しいポジションから決済していきます。
一番新しいポジションから損切りするメリット
この方法のメリットとしては「ロット数が大きいポジションを決済するため、相当な証拠金維持率の回復が見込める」という点です。
一番新しいポジションから損切りするデメリット
デメリットとしては「新しいポジションから決済した場合は当然ロット数が高いため、その分全ポジションの平均取得単価が下がってしまい利確までが遠のく」という点です。
またロットが高い分、損切りの金額も必然的に高くなってしまいます。
証拠金維持率が本当にピンチの場合は、新しいポジションから損切りしていくのも1つの作戦とはなります。
ただ利確まで遠のいてしまうという大きなデメリットがあるので、きちんと理解しておきましょう。
ポジションを全て損切りする
3つ目の方法としては全損切りです。
一段目 0.01ロット←決済
二段目 0.02ロット←決済
三段目 0.02ロット←決済
四段目 0.02ロット←決済
五段目 0.02ロット←決済
六段目 0.02ロット←決済
七段目 0.04ロット←決済
八段目 0.04ロット←決済
九段目 0.04ロット←決済
十段目 0.04ロット←決済
十一段目 0.06ロット←決済
十二段目 0.06ロット←決済
十三段目 0.06ロット←決済
十四段目 0.08ロット←決済
十五段目 0.08ロット←決済
こんな感じで全てのポジションを決済します。
ポジションを全て損切りするメリット
全損切りのメリットは、資金をすべて失うことを回避することができるという点です。
後述しますが、一番最悪なのは「資金を全損してしまうこと」です。

全損切りすることで、かなりの損失確定となりますが、全ての資金をなくしてしまうよりかはずっと良いです。
また含み損に対するストレスからも開放されますのでどうにもならないなと思ったら思い切って「全損切り」をおこなっていくのが良いです。
もう一度言いますが、最悪なのは「資金を全損してしまうこと」です。
ポジションを全て損切りするデメリット
全損切りを行うデメリットは、非常に大きな精神力・決断力が必要になるということです。
「損切りを行えば相当量の資金が無くなる」「もうすこし待てば相場が逆行して回復するかもしれない」こんな考えが頭の中に浮かんできます。
人間には無意識に「損失を回避したい」という心理が強く働いています。ですのでそもそも「損失を確定する」という行為が非常に苦手です。
そんな心理も働いて、全損切りは簡単にできることではなく大きな精神力・決断力が必要になってきます。
ただしやはり全損するよりは遥かにマシですし「単利運用(後述)」をしていれば比較的余裕を持って損切りすることができるので、「単利運用(後述)」も合わせて頭に入れておいてください。
損切りの前提について
そもそもの前提として「損切り」というのは、「なんとかしないとヤバいな・・・」と思ってからやることではありません。
もちろん相場は急に変動したりしますので「ヤバいな」と思ってから損切りなどする場合もあるのですが、できる限り余力がある段階で前もって予防して行っておくのがベストと言えます。
たとえば経済指標、雇用統計、長期休暇、アメリカ大統領選挙など重要度の高い経済指標の前など、含み損膨れ上がる可能性がある前にしっかりと「停止」「損切り」を判断していくべきです。
経済指標、雇用統計、長期休暇、アメリカ大統領選挙などはスケジュールが決められていますので「何日にどういったことがある」というのが事前に分かります。
スケジュールの確認方法や注意しておくべき指標・便利なサイトなどを下記記事にて紹介していますので、ぜひ参照にしていただければと思います。
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経済指標でFX自動売買EAは停めるべき?経済指標・要人発言とEA運用の考え方!
続きを見る

③証拠金を追加(追金)する
3つ目は、証拠金を追加(追金)するという方法です。
証拠金を追加(追金)するメリット
単純に証拠金を追加(追金)すれば証拠金維持率は回復します。
資金に余裕がある方などは証拠金を追加することを考えていきましょう。
どのくらい追加すればよいのかは、その時の相場次第なので明確な答えはないのですが10~30万円ほど追加すると証拠金維持率はかなり回復します。
証拠金を追加(追金)するデメリット
証拠金を追加(追金)するデメリットは相場によっては追加した証拠金を含めて資金を失う可能性もあるということです。
追加(追金)したとしても相場が逆行し続ければ再び証拠金維持率は下がっていきますし、追加(追金)に限界があるはずです。
「証拠金を追加する」というのは証拠金維持率を回復させるのにとても有効な手段ではあるのですが、資金に余力がある方ができる戦い方になります。
資金がない場合はどうしたらいいの?
資金に余裕がない方は一部お伝えしたとおり、証拠金維持率に余裕がある段階で対策(損切りしておく・単利運用を心がける(後述))ことが重要になってきます。
最低でも「経済指標」「要人発言」は把握しておくようにしてください。
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経済指標でFX自動売買EAは停めるべき?経済指標・要人発言とEA運用の考え方!
続きを見る
④なにもしない
証拠金維持率が500%を割った場合、急いで損切りを行ったとしても証拠金はほぼ残らない状態となります。
この段階になったらできることは前述した通り「自動売買を停止する」「証拠金を追加する」「なにもせず様子を見る」「全損を避けるために全て損切りする」くらいになります。

現実でも体力が限界に近づけば近づくほどできることが圧倒的に減りますよね。それと同じです。
なにもしないというのは、停止もしない・損切りもしない・証拠金も追加せずにただひたすら待つということです。
なにもしないメリット
何もしない結果、相場が反転し証拠金維持率が大幅に回復することもあります。
証拠金維持率が500%を割ったとしても、必ず相場が逆行し続けて強制ロスカットされるということではありません。
相場が反転して証拠金維持率が回復していくこともありますし、反転し続けて「爆益」となって結果的に正解だったというパターンもあるので、なにもしないというのも1つの選択肢となります。
なにもしないデメリット
ただこれは相場の状況を読んだ上で行った判断であれば問題ないのですが、そうじゃない場合は運用を自分で支配しているわけではなく「完全に運任せ」となります。
いつもでもこのやり方だといつの日かきっと痛い目を見てしまいます。
こうならないためにも、余力がある段階で対策を行っていくのが重要になってきます。
最悪なのはロスカットして全損すること
含み損を抱え証拠金維持率が低くなってきた時の主な対処法をお伝えしましたが、どれが正解なのかはブラックボックスであり非常に判断が難しい部分です。
損切りしすぎても「損切り貧乏」になってしまいますし、損切りしなかったが故にロスカットされてしまうこともあります。

答えがない中で対処していくのですが、一番最悪なケースとしてはやはり「強制ロスカットで全損してしまう」ことです。
当然ですが、全損してしまうと資金が手元に1円も残りません。
しかし資金が少しでも残っていれさえすれば、また仕切り直してまた始めることができます。
FXは「小資金からでも大きな金額を稼ぐことができる」という大きなメリットがあるので、全損せずに資金さえ残ればまたやり直すことができるんです。
ですのでまずは「全損しないこと・ロスカットされないこと」を意識しておくことをオススメします。

FX自動売買は複利ではなく単利で運用し利益は出金する
FX自動売買は複利ではなく単利で運用することを強くオススメします。
単利運用と複利運用の違いは下記のとおりです。
【複利と単利の違い】
単利運用・・・運用で得た収益を(元本にプラスせず)毎回受け取り、当初の元本の金額のままで運用する方法
複利運用・・・運用で得た収益を当初の元本にプラスして再び投資することです。これにより利益が利益を生みふくらんでいく効果が生まる。
参照元:https://www.resonabank.co.jp/kojin/shisan/column/kihon/column_0015.html
例えば、10万円の証拠金で月2万円の利益が出た場合。
単利運用は、2万円の利益は出金し、10万円の証拠金のまま運用を続けるということになります。
これを5ヶ月続けた場合、利益は10万円・証拠金は10万円です。
こうして出た利益はその都度出金する単利運用にしておけば、たとえ全損したとしても損失こそ10万円ですが、出金しておいた10万円の利益が手元に残っているのでダメージが残りませんしまた再起する資金が残っています。
同じパターンで複利運用していた場合は、利益が利益を生みふくらんでいくので証拠金こそ20万円以上になっているはずですが、全損してしまった場合は全ての金額を失うことになり相当なダメージを受けるとともに、再起することができません。
複利運用は利益が利益を生み旨味も非常に大きいのですが、リスクもその分大きいのです。

前述したとおり、FXは「小資金からでも大きな金額を稼ぐことができる」という大きなメリットがあるので、複利で運用しなくても単利でも大きな金額を稼ぐことができます。
利益を手元に確保しておけば、心にも余裕ができますのでぜひ単利運用を心がけてみてください。

最後に
以上、「証拠金維持率が大事!FX自動売買で含み損を抱えた時の対処法4選」でした。
「損切り」を行う・行わないの判断は非常に難しく、また答えはないので人によって判断は分かれるところです。
損切りしすぎて「損切り貧乏」になってしまっている方もいれば、損切りしないがためにロスカットされてしまう人もいます。
みんな迷いながら、試行錯誤しながら、自分の欲と戦いながら損切り判断を行っています。
残念ながら「これすれば全て丸く収まって解決です!」という魔法の方法はありません。
- 維持率が低くなって慌てだす前にできるだけポジションを整理したり停止したりする。
- 日頃から「経済指標」「要人発言」などはチェックしておく。
- 単利運用を心がけて利益が出た場合は抜いておくこと
ですがこれらを心がけておくことで、前もって対策することはできますし精神面も変わってくるかなと思います。
大切な資金を守って円滑に運用していくためにも、日頃からできる対策は行っていきましょう!
それでは。