2021年1月にXM、TitanFX、ハイローオーストラリアら5社が日本人に対して「不正をして荒稼ぎしていた」という少し怖いニュースが入ってきました。



”project HARAKIRI”の経緯
今回の不正ニュースの概要はこちらです。
ウィキリークスの内部告発によると、XMとハイロー、TitanFXなど5社が、日本向けの為替取引の取引価格を共同で調整していることがわかった。
このプロジェクトは”project HARAKIRI”と呼ばれており、国際的なFX運営会社5社が参加する大規模なものだった。
腹切りとは日本の切腹の意味であり、それを皮肉ったコードネームがつけられている。
そのプロジェクト名のとおり、レート操作は対日本のトレーダーにのみ行われており、アメリカやイギリスなどでは行われていなかった。
これにより被害を受けた日本人トレーダーは10万人にものぼるとみられ、被害総額は最低でも2億ドルにのぼる。
簡潔にまとめると、
ニュースまとめ
XMやハイローなど有名な海外FX業者が団結して、日本人をターゲットとした価格操作を不正に行っていた。
その名称が”project HARAKIRI”である。
ということになります。
この”project HARAKIRI”に参加していたとされている5社のうち3社は
・XM(XMTrading)
・ハイローオーストラリア
・TitanFX(タイタンFX)
と報道されています。
ニュース文にも記載されている通り、「腹切り」とは日本の切腹の意味であり、”project HARAKIRI”というのは、日本人をかなり馬鹿にした名称ですね。
僕たちのFXコミュニティでもこのニュースは共有されました。
ツイッターなどでも話題になっていましたね。
しかしよくよく調べるとこのニュースは「フェイクニュースじゃないか?」と疑問を持つ方がちらほらとでてきました。

”project HARAKIRI”の発信元は「Finance News Topic」というサイトだが・・・
この”project HARAKIRI”ですが、ニュースの発信元は「Finance News Topic」言うメディアです。
パッと見ると、HPの作りもしっかりとしているので「信頼できるメディアが配信しているのではないか」と信用してしまいそうになりますが、運営会社の情報は全くの皆無となります。
また、フッター部分にある「CONTACT」「ABOUT」「PRIVACY POLICY」をクリックしてもトップページに戻されてしまうだけになります。
本来、信頼できるメディアのホームページはこういう細かい部分もきちんと設定されているのが当然なのですが、Finance News Topicは細かい部分の設定は行っていないみたいです。
この「finance-news-topic.com」は、調べてみると「お名前ドットコム」にて2021年1月4日に登録されたばかりの新しいドメインでした。
そして「WayBack」というドメイン歴を調べることができるサイトで調べてみたところ、2021年以前には存在していないサイトであり、別のドメイン管理会社から移した形跡はありませんでした。
つまり、このFinance News Topicというサイトは2021年1月4日という、比較的新たしい期間に開設されたもので間違いありません。(記事執筆時2021年1月27日)
Finance News Topicは大手メディア『CNN』の記事を転載していた
2021年1月4日に開設された「Finance News Topic」ですが、こちらの記事は現在10記事の更新となっています。
しかし⑤「XM、ハイローなど5社が日本向けに不正価格操作していたことが判明」以外のニュースは、全て大手ニュースサイトである『CNN』(https://www.cnn.co.jp/)の転載であることが判明しています。
『CNN』がFinance News Topicに転載を許可している場合は問題ありませんが、許可していな場合は著作権侵害となりますね。
また「Finance News Topic」はニュースサイトでありながら、2021年1月27日現在たったの10記事しか更新されていません。
そのうち9記事は『CNN』の転載記事であり、今回の”project HARAKIRI”のみ転載ではないというかなり不自然な構成となっています。
以上のことから見ても、信頼できるメディアニュースサイトであるとは到底いい難いサイトとなります。
”project HARAKIRI”のウィキリークス内部告発記事が存在しない
ウィキリークスの内部告発によると、XMとハイロー、TitanFXなど5社が、日本向けの為替取引の取引価格を共同で調整していることがわかった。
Finance News Topicの冒頭に書かれている文には「ウィキリークスの内部告発」とあります。
「ウィキリークス」とは、匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイトの一つです。
簡単に言うと、匿名で投稿できる暴露サイトですね。
「project HARAKIRI」は、このウィキリークスにて内部告発があったということですが、WikiLeaks(ウィキリークス)で”project HARAKIRI”と検索しても記事は1つも該当しません。
念の為、「HARAKIRI」でも検索しましたがやはり記事は1つも該当しませんでした。
他にも大手検索サイトなどで”project HARAKIRI”と検索しても出てくるは、Finance News Topicの記事だけです。
「”project HARAKIRI”という不正があったみたいだ!」と書いてあるブログも多数存在しますが、やはりソース元となっているのは、Finance News Topicの記事です。
もし本当に”project HARAKIRI”という不正行為が本当に行われていたとしたら、もっと大きなニュースになってもおかしくないですし、大手ニュースサイト含め数々のメディアがそういった記事を相次いで掲載するのが一般的ですよね。
Finance News Topic以外とりあげていないのは、非常におかしなことかなと思います。
XMからも”project HARAKIRI”について声明が発表された
XMからも2021年1月26日に「重要なお知らせ - 虚偽の情報につきまして」という声明が発表されています。
はっきりと「該当記事は事実無根である」と記載されていますね。
「今後あらゆる適切な処置で対応していく」とされていますので、今後、何かしらの動きがあるかもしれません。
WEB魚拓:Finance News Topic
結論:”project HARAKIRI”はフェイクニュースである可能性が濃厚である
ポイント
情報元が2021年1月4日に開設された「Finance News Topic」という新規サイトである。
「Finance News Topic」はサイトの作りが細部まで行われておらず、運営会社の情報も不明である。
「Finance News Topic」は10記事中、”project HARAKIRI”を除いた9記事が転載記事である。
ウィキリークスの内部告発記事が全く存在しない。
「Finance News Topic」以外、”project HARAKIRI”を取り上げていない。
以上の点から、総合的に判断してもやはりフェイクニュースである可能性がかなり濃厚であるという結論が出せるかなと思います。
まとめ
情報というのは、便利である反面、非常に怖いものにもなりますね。
インターネットがまだ普及していない時代でも、情報によって大騒動にまで発展した事例が世界中であります。
例えば日本では「豊川信用金庫事件」「トイレットペーパー騒動」というのが有名ですよね。
情報を全て真に受けて騒いでしまうのではなく、まず「それは本当なのか」きちんと自分の目で確認することが求められていきますね。
それでは。